絶対的評価と相対的評価

ここでは、特許価値評価における「絶対的評価」と「相対的評価」の違いについてご紹介します。

絶対的評価と相対的評価の違い

絶対的評価は、「他の評価結果と比較しないでもその結果の意味を理解できる」評価手法と言えます。

例えば金銭的評価の場合には、その特許権は●●万円というように評価されるので、他の評価と比較しなくてもその評価を理解できます。

これに対して相対的評価は、評価の単位が例えば「ポイント」「点」などの単位であるので、
ある特許権が評価結果〇〇ポイントという結果が出ても、そのポイントのみからは価値を理解することはできません。

一方、A社の全特許の評価は○○○○ポイント、B社は△△△ポイント、C社は■■■ポイントとした場合、「A社の全特許の評価ポイントはB社の3倍である」などのように理解され、「A社はB社よりもその全特許の価値が3倍ある」と理解することができます。

このように、相対評価では他の評価結果と比較することでその理解が可能となります。

各評価手法の種類と利用シーン

代表的な評価手法であるマーケットアプローチ、コストアプローチ、インカムアプローチなどは、絶対的評価です。資産価値を表し、知的財産を売却、投資家からの投資を誘致する場合などに使われます。

一方、YKS手法は相対的評価であり、YK値やYK3値は特許の経済的・資産的な価値を示す相対指標です。
知的財産の売却を前提とせず、客観的に特許や技術を取り巻く経済的な情報を得るために使われます。その情報を使って自社や競合他社の将来を見通し、企業がどれだけ成長するのかの判断材料となるからです

絶対的評価が客観的でないとされる理由

絶対的評価の場合、評価者の主観が少なからず影響し、客観的な評価が難しいと言われています。
「主観が少なからず反映している」と考えられる理由についてご説明します。

特にインカムアプローチなどのDCF(ディスカウントキャッシュフロー)法の場合には、特許製品によって得られた利益の中で特許の寄与分はどの程度か、という判断をする必要があるからです。
寄与分は様々な要素を評価人の経験に基づいて格付けや按分して求める必要があり、その評価人の経験によって寄与分の割合が異なります。

また、免除ロイヤリティ法※においても、その特許のライセンス料率の値を推定する際に、評価者の経験に基づいたライセンス料率の算出がなされます。

※その特許のライセンス料率をベースにして本来支払わなければならなかったライセンス料が節約できたとする節約額で特許価値を評価する方法

コストアプローチの場合には相対的に評価者の主観が入るリスクは小さいですが、ダビンチの有名な絵画「モナリザ」の評価額を絵具代とキャンバス代をたし算して算出するに似た手法であり、本当に価値ある特許には一般に使用されず、利用範囲が限定されているという問題があります。

YKS手法が客観性が高く、相対的評価である理由

一方、YKS手法は客観性の高い手法です。前述のようにYK値やYK3値は特許の経済的・資産的な価値を示す相対指標であり、競合企業間で比較し全体的な傾向を知るためのものです。
企業が実際に行ってきた過去からのアクションに費やしたコストを指標化をしているため、客観性が担保されています。

以上、絶対的評価と相対的評価の違いについてのご紹介でした。

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