LOGIC

─ YK値と株価が連動する理由─

特許価値評価の必要性

正確な企業価値評価には「有形資産」だけでなく、「無形資産」の価値評価が極めて重要です。

現在、M&Aや融資、企業の経営判断を行う上で、企業価値評価の要素として発明、著作物、商標などの無形資産の評価が非常に重要な要素となっています。

日本では技術オリエンテッドの企業が多く存在するため無形資産の中でも特に技術の価値、すなわち「特許の価値」が重要視されています。その特許における評価手法は様々なものがありますが非常に複雑で時間もかかるものが多く、評価精度やスピードに優れた手法に高い注目が集まっています。

PATWAREは、無形資産の中でも特に注目される、「特許」の価値を迅速に「見える化」します。

PATWAREでは、今まで非常に時間がかかる特許価値評価をWEB上でリアルタイムに評価可能。蓄積した特許データとノウハウ、IT・テクノロジーを活用することで「価値の見える化」をスピーディーに提供します。

YK値と株価が連動しているとする理由は、

「YK値(技術競争力指標)が高い企業 → 高い売上高利益率を有する企業」

の関係性から来ています。

日本企業の技術競争力と財務戦略
―デュポンシステムを用いた分析―

井出真吾様( ニッセイ基礎研究所 チーフ株式ストラデジスト)

竹原均 様( 早稲田大学大学院経営管理研究科 教授)

「経営財務研究」誌  第37巻第1・2合併号(2017年12月発刊)

①YK値が高くなることは、競争相手が欲しがる技術を独占している状態が発生していることを示している。
②このためYK値が高くなった企業の製品に競争力があり、価格競争に陥らないために営業利益率が上昇する。
③または、営業利益率が下がる傾向を抑止する。
④この点は競争企業との比較のため、競争企業よりも特許技術関連製品において営業利益率が優位な状態である。
⑤上場企業の営業利益率は投資家の基本的観察項目のため、営業利益率の上昇自体が投資家から見て「買い」の
サインとなる。
⑥また自己資本利益率に関してデュポン分解すると、以下の式が成り立つ。
「 自己資本利益率=売上高利益率×総資産回転率×財務レバレッジ 」

 これは、
「 自己資本利益率 」= 「 純利益/自己資本 」
「 売上高利益率 」= 「 純利益/売上高 」
「  総資産回転率 」= 「 売上高/総資産 」
「  財務レバレッジ 」=「 総資産/自己資本 」
の関係からくるものです。

つまり、売上高利益率が高くなると、結果として自己資本利益率が高くなる傾向があります。
または、財務レバレッジを抑制するように企業が行動する傾向もあります。

この 「自己資本利益率」は投下資本に対する利益の割合を示すものですから投資家の着目する指標で、
上昇すれば、
「買い」のサインとなります。
また 「財務レバレッジ」を抑制する、つまり、銀行借り入れを減らしたり、社債の発行を減らしたりする企業の行動は
投資家から財務の健全性が高まったサインとして見られる場合があり、やはり「買い」のサインとなります。

このようにYK値が上昇することで投資家が普段から観察している企業の株価を観察する「ファンダメンタルズ」が
好サインに変化するので一般に株価が上昇し、結果、時価総額が上昇する傾向となります。

●ご参考
アナリストや投資家がファンダメンタルズ分析で使用する主な指標
1 収益性を見る指標  :営業利益率、経常利益率、ROE(自己資本利益率)、ROA(総資産利益率)
2 割安、割高を見る指標:PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、配当利回り
3 安全性を見る指標  :自己資本比率(財務レバレッジ)、流動比率、キャッシュフロー
4 成長性を見る指標  :EPS(1株当たり純利益)、総資本増加率

知財訴訟における損害賠償の認定からわかること

─ 「YK値が高い特許は営業利益率が高い」理由の補足─

YKS手法における「攻撃」の中で最大級のものの一つが、知財訴訟時に被告企業からされる特許無効審判請求です。

特許無効審判請求が認められず特許無効請求が棄却された場合には、特許を侵害した被告企業に対してされた損害賠償請求が認められます。これは、特許の侵害がなければ特許権者が得られたであろう利益を表しており、逆に言えば、特許権者は侵害がなければその特許から損害賠償額に相当する利益を得ていたと裁判所が認定したことになります。つまり、その特許は、その損害賠償額に相当する利益を生み出す資産価値を有していたことになります。

この特許を持つことによって生じる独占的地位に由来する超過利益は、通常の企業活動の中では営業利益の中に紛れ込んでおり、特許以外の他の要素(例えば生産効率、営業力、サプライチェーンなど)によって得られる利益と明確に識別して企業が把握することは難しいのが現状です。しかし、上記侵害訴訟の論理構成からわかるように、特許無効審判を請求されて請求棄却された特許には明らかに超過利益を生み出す資産価値があります。

ここで、企業活動が経済合理性に基づいて行われることを考えれば特許の無効審判のみならず、この審決取り消し訴訟をしたり、競争相手が異議申立をしたり、閲覧請求や情報提供といったいわゆる「攻撃」がなされたものの、結果として特許が消滅しないで存続したものに関しては、その特許発明を採用した製品やサービスが生み出す利益の中の一定の部分が特許による超過収益分であることが納得できます。

これを別言すれば、そのような攻撃を受けた特許発明を採用している製品やサービスで企業が得る営業利益の営業利益率は、もしその特許がなかったと仮定した製品やサービスから得られる営業利益の営業利益率と比較して、営業利益率が高まっているという結論に至ります。

このようなことから、YK値が上昇した場合には、すでにその特許発明を採用した製品の営業利益率が高まっているか、将来的に営業利益率が高まると推定できます。そして、この営業利益率の特許による押上効果は、アナリストや機関投資家に競争相手企業と比較観察されて最終的には株価の上昇、時価総額の上昇に結び付きます。

これは企業における知的財産活動が企業の価値(時価総額)を向上するという活動目的で行われている以上、その成功に対する当然の帰結とも言えるのです。

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